コラム

トラウマとは2

心は前項で書いたように目には見えません。
ですから、傷がついたとしても目で見て確認することができません。
心の傷の治療で難しいのは、身体の傷と違って、どの程度の傷を負ったのか直接目で見て確認することができないということです。
また、同じような心理的なショックを受けても、人によって衝撃を受ける程度は様々なのです。
例えば、脚を骨折をした人で「私は治療は必要ありません」という人は少ないですよね?骨折したら早く何とかして欲しいと思うでしょうし、見ている人も、すぐに治療が必要だと思うことでしょう。
でも、心の傷に関して言えば、傷を受けたからすぐに治療というわけにはいかないことがあります。
傷を負った本人も、心の傷は目に見えませんから、自分の心が負った傷の程度を正しく分からないということもありえます。
そのような時、心の傷が見過ごされ、手当てがないまま放置されてしまうこともあります。
身体の傷を放置すれば、化膿して悪化するのと同じように、心の傷も何の手当てもされなければ、悪化することがあります。目に見えないものをどうやって扱っていくのかということは非常に難しいことなのですが、心理士はその傷を、しばしば「イメージ」として扱っていくというやり方を取ります。
具体的な方法については色々ありますが、話し合いをする他に、絵を描いてもらったり、コラージュというものを作ってもらったりする人もいます。
手当ての仕方もその人に合わせて個別に考えていきますので、同じやり方は2つとないと言っても過言ではないでしょう。 トラウマの手当てとして、ひとりひとりに合ったものを心理士が一緒に探していくというプロセスを通して、心の治療は展開していきます。(終)