人間関係が上手くいかないと感じている方(発達障がいの方)へ
最初に、以下の項目をご覧になって、ご自身にあてはまるかどうか、ご確認ください。
●人と温かく親密な関係を築くことができない、孤立してしまう
●友だちができない、親しい人や友だちとの関係を持続させることができない
●自分には、そんなつもりはないのに、人とトラブルになってしまうことが多いなど
「人間関係が上手くいかない」という大人の方の悩みをお聴きすることがよくあります。思い当たるという方はいらっしゃいますでしょうか?
お仕事には問題がないけれど、昼休みや仕事終わりの付き合いが苦手であったり、職場では問題が無くても、家庭でご家族の方との関係が上手くいっていないという方もいらっしゃいます。また、人間関係から離れて1人気楽に過ごしているという方もいらっしゃいます。
――人と上手くかかわりたいのに、どうすればよいのか分からない。一生懸命に人とかかわろうと頑張っているのに、なぜだか上手くいかず、人とトラブルになってしまう――
このように、人間関係が上手くいかないということが続くと、自信をなくしてしまって、人とのかかわり自体をやめてしまう方も多くいらっしゃいます。
では、どうすればよいのでしょうか。
ここでは、コミュニケーションについて一部取り上げてご紹介いたしますので、ご自身のことについて少し振り返ってみてください。
○一方的に話してしまう
相手の話を聞かずに、自分の話したいことばかりを話してしまい、気がつくと相手が退屈そうにしている、会話になっていない、ということはありませんか?相手の話を聴いてそれに応えるのでなく、一方的に自分ばかり話してしまうと、周りからは自分勝手だと思われてしまうこともあります。そのため、相手が話している時には、話し終えるまでしっかりと話しを聴くようにしましょう。また、あいづちをうったり、相手の話に耳を傾けるようにしたり、相手が話し終えたタイミングで適度な長さで話すようにするとよいでしょう。
○思ったことを正直にそのまま伝えてしまう
正直に思っていることを話すことは、素直で真っ直ぐなことなのですが、時に相手を傷つけたり、相手に言い方がきついと思われてしまうことも多々あります。特に、「そうは思わない」「似合わないよ」など、相手を否定するような意見の場合には、そんなつもりはなくても、言葉で相手を傷つけてしまうことが多いので、伝える前に気を付けるようにしましょう。日本では、思ったことをそのまま言わずに、遠回しに柔らかく伝えたり、全部言わなくても行間から読み取ることができる場合もありますから、伝える前に一呼吸おいて、相手にとって否定的な考えではないだろうか、相手は傷つかないだろうかなど、考える習慣をつけるようにしましょう。たとえ、思いを伝えることが正しいことであったとしても、相手がどう受け取るのかを考えることが重要です。伝える前に、信頼できる人に言ってもよいか相談することも一つの方法でしょう。
○好きなことに没頭するあまり、家族に対して言い方がきつくなってしまう
あまりご自身では感じていない場合でも、ご家族はもっと温かく親密なかかわりを求めていることがあります。家族で一緒に旅行に行きたい、一緒にゆっくり過ごしたい、楽しく会話したいなど、かかわりを持ちたいと思っていたりします。しかし、親や子どものことについて相談をされた時に、「任せます」「自由にしてくれたらよい」などと取り合わなかったり、それとは逆に「こうすべきだ」「こうしなさい」など、自分の考えを一方的に押し付けてしまって、相談に対して一緒に考えたり、意見交換をして話し合うことができない状態になっていることがあります。ご家族の方は、話を親身に聴いてくれたり、一緒に考えてほしいと願ってご相談されたのだと思います。例えば、何かに没頭している時であれば、少し手を止めて、目を見て話を聴いたり、作業が途中になるのが気になるようであれば、時間を決めて「30分待ってほしい」と伝えて、後でゆっくりと時間を作って話を聴くようにしましょう。
いかがですか?こちらに紹介したのは、ごく一部なのですが、人間関係がうまくいかないという時には、ご自身のかかわり方について振り返って考えてみると、さまざまなことが見えてきます。上に挙げた例をご参考に、ご家庭や職場、友人との関係などについて少しでも上手くいくように工夫してみてください。また、「ソーシャルスキル」「大人の発達障がい」などのキーワードで書籍をお探しになることもおすすめいたします。